各企画案内

全体会

日時: 8月5日(金) 9:45〜10:05
会場: 朱鷺メッセ メインホールB
開会挨拶: 小林 昭三 新潟大学 2005PCカンファレンス実行委員長
挨拶: 長谷川 彰 新潟大学 学長 2005PCカンファレンス名誉実行委員長
司会: 立田 ルミ 獨協大学 CIECカンファレンス委員

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講演会

日時: 8月5日(金) 10:05〜11:45
会場: 朱鷺メッセ メインホールB

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テーマ 「脳科学と教育」研究の現状と将来展望

小泉 英明 株式会社日立製作所役員 基礎研究所フェロー
独立行政法人科学技術振興機構 研究統括

自然科学や先端技術,そして人文学・社会科学を架橋・融合した新たな視点から,私たちの周囲に広がる社会問題を解決しようという研究が始まりつつある. デカルトは要素還元の過程の先に,統合の過程についても言及している.「降りて来た階段を,今度は一歩一歩登り詰めるように,分解された要素を統合して始めて全体システムを正しく理解できる」とも述べた. 要素を再結合するには,鳥が大空から大地を見渡すように,鳥瞰的あるいは俯瞰的視点が大切である. 細分化された学問諸分野を俯瞰的に架橋・融合する潮流は自然科学だけでなく,社会科学・人文学にも広がりつつある. 地球生命圏の持続的発展には,物質側面としての環境問題(environmental issues)と,精神的側面としての教育問題(educational issues)が大切であろう. 生命と文化の多様性を尊重しつつ「人類の安寧とよりよき生存」(human security and well-being)を目指す努力が必須になってきた. 困難であった分野間の壁の一部が,今,越えられようとしており,哲学や心理学の分野であった精神や心の世界にも,非侵襲高次脳機能計測法(人を傷つけずに安全に脳の精神活動を描画)の開発を契機に,認知神経科学や脳科学といった学問が入ってきた. さらに,現場で得られた貴重な暗黙知を,活用が容易な形式知へと俯瞰的に体系化することの大切さも認識されつつある. 異分野研究者の共同作業,そして,現場を熟知した実践者(practitioner)と科学者・人文学者(scientist・scholar)の連携が始まろうとしている. このような時代潮流の中で,典型的な文理融合領域として考えられるのが「脳科学と教育」である.学習の概念を「脳が環境(外界)からの刺激に適応し,自ら情報処理神経回路網を構築する過程」,教育の概念を「環境からの刺激を制御・補完して学習を導き鼓舞する過程」と捉える. 一旦,価値の視点を脱却し,客観的に学習と教育の本質を再確認する.蓄積されてきた脳神経科学の知見を新たな角度から見直し,生物学的視点を拠り所に学習や教育に資する試みである. 発達認知神経科学を含む脳科学,発達心理学や言語学,そして新たな非侵襲高次脳機能計測や各種情報技術を架橋・融合して,実証的かつ実践的な研究を目指す. 生を受けた発生・胎児期から,一生を終えて死に至るまで,全ての学習と教育過程を広義かつ包括的な視点で捉え直すアプローチである.

プロフィール

1946年生まれ

現職
(株)日立製作所 フェロー(役員待遇),科学技術振興機構 研究総括,
OECD・「学習科学と脳研究」国際諮問委員,
中央教育審議会並びに原子力委員会専門委員,
東京都神経科学研究所 客員研究員,日本赤ちゃん学会 副理事長,
国立環境科学研究所 監事他,諸学会理事・評議員,その他
略歴: 東京大学卒業,東京大学理学博士(偏光ゼーマン原子吸光法の創出)
1976-1977年 米国カリフォルニア大学ローレンスバークレイ研究所(客員物理学者)
1992年 (株)日立製作所中央研究所 主管研究員
1995-1997年 北海道大学電子科学研究所 客員教授
1998-2003年 東京大学大学院総合文化研究科 客員教授
1999-2001年 (株)日立製作所基礎研究所 所長
2001-2003年 (株)日立製作所参与,基礎研究所・中央研究所 主管研究長
2001年- 科学技術振興機構 研究総括
2003-2004年 (株)日立製作所研究開発本部 技師長
2004年- 科学技術振興機構 研究統括
2004年- (株)日立製作所 役員待遇フェロー
表彰
研究功績者・科学技術庁長官賞(1976),全国発明表彰・科学技術庁長官賞(1983),
大河内記念賞(2004),大河内記念技術賞(1977,2000),R&D100賞(米国)(2002)他
編著書
『脳図鑑21:育つ・学ぶ・癒す』工作舎(2001),『環境計測の最先端』三田出版(1998),その他

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シンポジウム

日時: 8月5日(金)12:45〜15:30
会場: 朱鷺メッセ メインホールB

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テーマ「若者の自立と教育の課題」

パネリスト: 橋本 勝  岡山大学藤田 哲也 法政大学
和田 寿博 愛媛大学
田中 一郎 金沢大学(CIEC理事)
司会: 若林 靖永 京都大学(CIEC副会長)
指定発言者: 佐伯 胖  青山学院大学(CIEC会長)
生田 茂  筑波大学(CIEC副会長)

現在,日本の若者は個人としても社会との関係性においても非常に厳しい現実に直面している.そのような若者の現状は「若者の自立」「大人になれない若者」というテーマで活発に論じられている.このことは「自立という課題を抱える若者」が大学に大量に存在していることを意味している.実りある教育改革を行うためには,学生の現状を多面的に 分析しながら進めていく必要がある.大学の教育改革については,学力低下問題や大 学全入問題との関連で論じられることが多いが,本シンポジウムにおいては視点を大 きく広げ,「自立という課題を抱える若者」という切り口から,学生の現状や取り巻く状況について共通認識を広げつつ,教育改革が向かうべき課題を明らかにすることにしたい.

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イブニングトーク

開催日時: 8月5日(金) 18:15〜20:00
開催場所: 朱鷺メッセ 2階小会議室

(現在企画されているものを掲載しております.イブニングトークは参加者のみなさん自身が作る企画です)

  1. 情報教育の高大連携(CIEC小中高部会)
    趣旨:カリキュラムの接続を考えるセッション.大学の講義を夏休みに集中講義.高校単位として認める事例などもあるが,学生SA・TAをどのように活用するかも議論したい.
    参加対象:大学,高校,中学校,小学校の教員および企業の教育担当
  2. ネット社会と子供達(CIEC小中高部会)
    趣旨:いまの社会が,子どもたちの生活や学習にどのような影響を与えているかを考えるセッション.佐世保の事件や携帯電話の校内禁止などの話題を中心に,子どもを取り囲む社会に学校がどのように関与できるか.北海道PCCでは,小学生にHPを作らせるという報告があった. ・・・生徒自身に作らせることによって,何に注意しなければいけないか学べるだろう という考え方 学校が禁止・・・教育放棄につながる.学校が,どのように関わるのか. などをもとに,携帯電話と情報教育という内容もこのテーマの中で扱える.また,コンピュータの教科での活用をどう考えていくかなどを議論する.
    参加対象:大学,高校,中学校,小学校の教員および企業の教育担当
  3. 情報教育とテクノロジー(CIEC小中高部会)
    趣旨:無線LAN/モバイル/ユビキタス/セキュリティなど学校を取り巻く先進技術に関するセッション.
    参加対象:大学,高校,中学校,小学校の教員および企業の教育担当(特に技術系の話をしたい人や先端技術を利用した教育を考えている人を対象.)
  4. 大学のPC必携化における大学生協の役割と課題 - 生協サポートの現状交流(CIEC生協職員部会)
    趣旨:必携,準必携である学部・学科指定PCを取り扱い,店頭でのサポートに悩みを抱える生協職員や,生協でのサポートについてもの申したい先生方と交流をおこない,今後の情報共有のきっかけとする.
    参加対象:生協職員,大学教員, 大学のPC必携化に関心のある方
  5. だれでも作れる適応型テスト,無料で使えるCATシステム(秋山 實/合資会社eラーニングサービス)
    趣旨:TOEFLのオンラインテストで有名になったアダプティブテストですが,大規模な仕掛けとアイテムバンクを必要とするため,自分で作って使うことを考える人は少ないと思いますが,短時間で受験でき,広範囲の知識やスキルの習得度合いを測定できるアダプティブテストは魅力があります.オープンソースのeラーニングソフトウェアをベースにしたCATシステムとアイテムバンク構築ツールをご紹介し,アイテムバンクを共同で構築することを提案し,議論したいと考えています.
  6. 英語で学ぶPCスキル その可能性(加藤 マイケル/特定非営利活動法人 教育ソリューション協会)
    趣旨:この度,教育ソリューション協会では,米国を中心に3万人以上の教師と約150万人の生徒が利用している教育システム"EasyTech“を日本の先進的教育実施校に紹介するプログラム"EasyTech チャレンジ"をIT教育技術基準の国際的な普及と“デジタル・デバイド”の解消をその使命とする米国のNPO団体ISTEの全面的協力を得て実施します.
    参加対象:幼稚園,小中学校のIT教育関連担当者,教育委員会関係者,IT教育に関心のある方
  7. 台湾の大学におけるキャンパス・ワイヤレス化への取り組み〜キャンパス・ワイヤレス・ローミング・プログラムの紹介〜(協力:インテル台湾)
    趣旨:本企画では,台湾の大学において早くから無線LANの導入をおこない,その先進的な取り組みの中心的な存在となってきた2つの大学(逢甲大学,台湾大学)の教授を,プレゼンターとしてお招きし,台湾でのキャンパス・ワイヤレス化の現状をご紹介します.台湾では2005年度中に,94%以上の高等教育機関がワイヤレス化を実現します.そうした中,より多くのアプリケーションをユビキタスな環境で 使えるように,48大学が参加するワイヤレス・ローミング・ネットワーク・プロジェクトが立ち上がりました.こうしたワイヤレス・インフラ整備によって,3GやWiFi,WiMAXなどのテクノロジを利用したコミュニケーションが集約され,VoIPやビデオ・ストリーミングなど,様々なアプリケーションの可能性も広がります.
    こうした台湾での事例の事例と,それに対するQ&Aを通じて,日本の大学でのキャンパス・ワイヤレス化の方向性や問題点などについて,参加者の皆さんとともに議論をを深めたいと思います.
    (このセッションには中国語・日本語の逐次通訳がつきます).

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開催地企画

日時: 8月6日(土) 15:00〜18:20
会場: 新潟大学 A会場:教育人間科学部大講義室
B会場:教育人間科学部204講義室

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<第1部>

テーマ: 「情報教育の課題と展望〜アジア諸国と日本〜」
時間: 15:00〜16:10
会場: A会場:教育人間科学部大講義室

近年,アジアの近隣諸国において,ICT教育やICT活用教育に関する数多くの先進的事例を見出す状況が生まれてきています.「『情報』時代の豊かな可能性を求めて」をメインテーマとした2005PCカンファレンスの「開催地企画」では,アジアにおけるこうした情報教育の先進的な事例の報告・交流を行いたいと考えました.
日本の情報教育は,十数年前にインフラの整備とともに,手探りの中から各「教科」・「総合的な学習の時間」・「特別活動」等の様々な実践を通して,教育内容や方法に変革をもたらしております.また,高等学校の教科「情報」がスタートして3年目を迎え,情報教育のありかたにつきましても各教育機関において更なる発展が期待されるところです.
しかしながら,国内における情報教育は,一部では先進的な実践事例が多く存在する一方,大多数の教育現場では限られた環境の中での情報教育が主流であるため,情報教育の裾野はなかなか広がらないまま今日に至っています.
その一方で,海外,特にアジア諸国では,高度情報化社会づくりが国家プロジェクトとして進められ,高速ネットワーク環境の中で情報教育が行われています.
第1部では,全体会として,台湾と韓国からの招待講演者から,2つのメイン報告が行われます.アジアにおける情報教育の先進的な事例に関する報告をもとに,日本における情報教育をめぐる課題と展望を探り,その豊かな可能性を求めたいと考えました.詳細なスケジュール(講演者,テーマ・要旨等)はwebにて追加掲載を致します.
第2部では,2つの分科会に分かれて,次のような2つのテーマについて,引き続き報告と討論が行われます.

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講演 1

台湾・逢甲大学における無線LANの導入事例とその効果について
Hsu, Fang-Rong Feng Chia University Traslated(許芳榮 逢甲大学)

逢甲大学では,キャンパスのIT化(“e-Campus”ビジョン)の一環として,ハ ードウェアはもとより,eラーニングから大学事務にいたるまでのアプリケー ションを含めた,徹底的なITインフラの整備を実現してきた.また,2000年には,インテルとの共同研究により,広範囲にわたる学内の無線LANが整備され,以来,“Unwired University”を目指した取り組みが積極的に行われている.近い将来においてはこれからの研究活動の鍵となる,データ・ウェアハウスの整備および,無線LANのローミングなど,学内インフラの充実をさらに推進する計画である.

Hsu教授は,逢甲大学におけるこうした取り組みの中心となって活動してきた.逢甲大学の教授に就任する以前は,台中健康管理学院にて情報工学学部長,静宜大学の情報ネットワークセンター長などを歴任し,逢甲大学での取り組みはこうしたバックグラウンドをフルに活かした活動といえよう.

本企画では,逢甲大学の無線LANの導入状況と,その効果的側面などについて,ご紹介する予定である.

許芳榮 プロフィール
台湾,国立交通大学 コンピューター・サイエンス博士課程を1992年に終 了.電気電子技術者協会(IEEE)の生物情報学や生物工学の分野におけるシン ポジウムへの参加をはじめ,国際情報分子生物学研究会議への参加など,最新 テクノロジ分野での積極的な活動をおこなっている.

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講演 2

The Current Status of Information Technology and IT-based Physics Education in Korean Universities
Keum H. Lee* (Institute of Photonics and Information Technology Chonbuk National University)

ABSTRACT
Education preparing for the future should have a feedback mechanism reflecting the societal change and need. The ongoing change of Korean physics education, started in 1995 with the nationwide education-reform drive, is a case in point. It aims for the customer-oriented education with program diversification and intensive use of information technology, so that the educational emphasis can be shifted from teaching to active learning. General overview and some specific examples for IT-based introductory physics will be presented with emphasis on the changes made in lecture contents, laboratory experiments, and web-based recitation (problem-bank) programs. The future plan will also be briefly discussed.

* Supported by The Korea Research Foundation.

詳細を閲覧する PDF File (ファイルサイズ:25KB)

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<第2部>

A:「初等・中等・高等教育における情報教育の課題と展望〜アジア諸国と日本〜」

時間: 16:20〜18:20
会場: 教育人間科学部大講義室

この分科会では,全体会のメイン報告を全面的に引き継いで,アジア諸国の中でも特に先端的な実践を行っている情報教育/コンピュータサイエンス教育の内容を紹介して頂きます. その中で,高等教育機関へリンクさせるための初等・中等教育機関における日本の情報教育の課題を整理し,特に初等・中等教育機関における情報教育の内容や手法の改善策について現職の教育機関の皆様とともに議論し,今後の展望を探っていきたいと考えております.
大学関係者の方々をはじめ多くの小・中・高校の先生方のご参集をお待ち申し上げております.

報告 1
IT-Based Education in Korean Schools and Chonbuk National University: Current Status
Jin Seung Kim (Photonics and Information Technology Chonbuk National University.)

ABSTRACT
Korea has been putting strong emphasis to the development and application of information and communication technology (ICT) for decades. As of 2005, Korea is considered to have the best infrastructure for accessibility of high speed internet in the world. Korea is now seriously considering productive utilization of such ICT infrastructure in improvement of school education. Schools and universities are encouraged to adopt ICT in education practice, and some change is observed. In this talk I would like to introduce various examples of application of IT to education currently in use in some schools and in Chonbuk National University.

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報告 2
「韓国視察レポート」 武沢 護 (早稲田大学高等学院)
報告 3
「ソウル日本人学校から報告」〜中継〜 渡辺 直樹 (ソウル日本人学校)

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B:「PC必携化時代の教育/教育環境を考える」

時間: 16:20〜18:20
会場: 教育人間科学部204講義室

「『情報』時代の豊かな可能性を求めて」をテーマに開催される2005 PCカンファレンス.今年はとりわけ,コンピュータとの関わりだけではない,「若者の自立」や「教育」そのものが話題としてとりあげられています. 教科「情報」世代が大学へ進学する,いわゆる2006年問題も目前に控え,大学全入時代の鳥羽口にもさしかかっています.大学におけるリテラシ教育やコンピュータを使った教育の今後について考える上で,大きな節目となる機会ではないでしょうか.
大学生協企画としては昨年来,大学におけるPCの必携化をテーマとするシンポジウムを開催しています.昨年は約160名もの参加を得,しかも教官・学生・ 院生と生協職員の参加者数がほぼ同数という,このテーマへの立場を超えた並々ならぬ関心の高さを感じました. 必携化の背景をより深く知りたい,必携化そのものの是非についてももっと討論すべき,などの意見も頂戴しており,是非とも討議を深めていただきたいと考えています.
大学におけるコンピュータの販売・サポートを担う大学生協にとっても,大学教育がどう変わっていくのか,そのなかで出てくる様々な要請にどのように応えていくべきか,関心を持たずにはいられない問題です. より豊かな事業をすすめるためにも,自ら大いに学び,かつ先生方や学生のみなさんと同じ目線で考えたいと思います.
ぜひとも,PCカンファレンスに集う様々な人たちの想像力と知見を結集して,実りある議論の場をつくりましょう.

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