2017 PC CONFERENCE 8月5〜7日 慶應大学湘南藤沢キャンパス

開催挨拶

 2017PCカンファレンス(PCC)は,8月5日から7日まで,慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で行います。テーマは,「創造する学び−アクティブ・ラーニング2.0−」です。実は,2008年のPCCもSFCで開催されましたのですが,そのときのテーマは「創発する学び」でした。すでにその時点で,学びの協働(コラボレーション)を通して実践される「教えると学ぶ」の関係性には,「創発」という偶発的な契機ではあっても,相互に新たな気づきを誘発する構造的な条件があることが了解される状況にありました。

同じような時期に,アクティブ・ラーニングが教育現場でも重視されるようになり,教師からの一方的な知識伝授に代わる新しい教育方法論が模索されるようになりました。生徒や学生の主体的な学びとは何か,そこでの相互的な学びを支援するICTの環境はどう整備すればよいのかなど,アクティブ・ラーニングをめぐるいろいろな議論が盛んになりました。最近では,アクティブ・ラーニングという言葉が流行のように広がり,教育現場では多くの戸惑いや混乱がみられるとも言われています。

そのようななか,今回,「アクティブ・ラーニング2.0」というタイトルで,現状の学びのスタイルを検証し,次代の新しいスタイルを探究してみることをテーマに掲げました。2.0には,学びのスタイルはそもそも多様で,もっと自由でもっと柔軟なスタイルであるはずだ,という思いを込めています。従来の認識では,問題が事前に設定され,その解決を主体的に情報探索するスタイルによって教育効果をあげることがアクティブ・ラーニングの主要な手法とされているようです。しかし2.0では,「協働的な学びは創造的である」という前提にたち,「問題がそもそも何かもわからない」というところから始まり,「教師と学生の関係も反転」(福沢諭吉の半学半教)しながら,関係性自体の役割関係すら自由かつ柔軟にすることで,いままでにない発見や創造が誘発されることを予期させるスタイルです。

今回のPCCでは,相互行為・役割設定・状況規定と制度設計そして学びの本源的価値,それらすべてにおいて既存のスタイルが変容する多様な可能性を,ワークショップなどの実践を通して,みなさんと一緒になって思考する新しいスタイルを導入してみよう,と考えています。創造的な学びがSFCの現場から生成されるPCカンファレンスにしたい,それが2017PCCの大会方針です。ぜひ,みなさんの想像を超えた参加を期待します。

2017PCカンファレンス実行委員長
井庭崇 慶應義塾大学総合政策学部

 

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