口頭3-D-52022年8月12日(金) 16:50 - 17:15会場:202B

ニューラルネットワークを用いたケインズ『確率論』の検討

新井 一成(サイエンスフロンティアラボ)

発表キーワード
ディープラーニング
意思決定論
Python

本研究の目的は、確率的意思決定モデルの検討である。不確実な現代において、教育における意思決定論の価値は高まりつつある。サヴェジ、サイモン、カーネマン=トゥベルスキー、ギルボア=シュマイドラー等多分野の研究者が意思決定モデルの構築を試みたが、未だ合意に至る結論は出ていない。本研究では、決定理論や確率概念が明確に確立する以前の、ケインズ『確率論』(1921)に着目する。ケインズは計算も比較もできない非数値的確率に着目し、多くの論理式からなる公理系の構築を試みた。それらの論理式にはブールの挑戦問題などの19世紀の諸課題を含み、数理的に解くことが困難である。本研究はPythonによるニューラルネットワークを用いて論理式の解の範囲を検討する。ケインズ『確率論』の意思決定メカニズムを解明することを通じて、高等教育における初学者向けに他の決定モデルとの違いがわかる教材を開発する。